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Saturday, 1 February 2014

The Asahi Shinbun 2-Feb-2014


iPadでつづる命 末期がんの主婦、病棟からブログ

 

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 余命を宣告された末期がんの女性が、わずかに動く指先を使い、ブログで発信を続けている。タブレット端末を通して他の患者らと交流することで、一時は失いかけた生きる気力を取り戻した。末期患者でも生を楽しめる――。こんな思いを伝えたくて、タブレット端末が利用できる病棟の環境づくりを求めている。
 ブログは「私はまだまだ生きられる 余命宣告の期日を過ぎてからの毎日を綴(つづ)ります」と題する。筆者は「久美子ママ」。大阪市ホスピスで暮らす主婦の久美子さん(50)だ。
 夫と息子2人に囲まれ、読書とピアノが趣味だった生活に病魔が襲ったのは4年前。大腸がんで、 昨年1月には余命4~5カ月と告げられた。7月に入院するとすぐ下半身が動かなくなり、腕も指先まで麻痺(まひ)した。首が器具で固定され、終日、ベッド で過ごす。自力で排泄(はいせつ)ができなくなり、「人としての尊厳を失ってまで生きる意味があるのか」とふさぎこんだ。
 8月半ば、大学生の長男(23)とめい(26)から「一言でもいいから日記を書いてみたら。指のリハビリにもなるし」と言われ、ブログが設定されたタブレット端末の「iPad」を渡された。もともと文章を書くのは好きだ。病状や、看病してくれる家族や医師、看護師への感謝……。スポンジにくるんだタッチペンを親指だけで支え、画面をたたいていろんな思いを綴った。
 9月下旬にホスピスへ移ってからも、連日のように書き込みを続けた。見知らぬ末期患者たちやその家族からの投稿も励みになった。久美子さんの兄(54)は言う。「体調が悪い時でも、『あ、(投稿が)来てる』とか言って。フーッと表情が明るくなるんです」
 年末には、親しかったホスピスの女性患者2人が相次いで亡くなった。ひとしきり泣いた後、久美子さんは看護師(32)に「大丈夫、1人でいろいろ考えるから」と伝えた。残された時間で何かできないか。思い立ったのが、ホスピスへのタブレット端末の配備を求めることだった。
 年が明け、1月12日のブログには、こう記した。
 もし、iPadが、日本中のホスピスにあったら! 末期ケアの革命になるかもしれません。もう、私の命は風前の灯なので、消えてしまう前に、何か、人のお役に立てることがしたい

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