眠れる資源、出遅れた日本 調査船更新し、沖縄トラフへ
【寺西和男、機動特派員・織田一】10月4日午前、日本の最新鋭の海洋資源調査船「白嶺(はくれい)」が山口県下関市の下関港をゆっくりと離れた。向かった先は沖縄本島の北西に広がる海域、沖縄トラフだ。
沿岸国は周囲約370キロを排他的経済水域(EEZ)に設定して、その中の鉱物資源などを開発する権利を持っている。日本の領海とEEZは世界6位の広さ(447万平方キロ)で、海底に手つかずの資源が眠っているとみられている。
沖縄トラフはそうした「宝庫」のひとつ。今年1~2月、白嶺で水深1600メートルを調べ、ドリルで海底を約40メートル掘った結果、亜鉛や鉛、銅、金などの鉱物資源を含んだ大規模な海底熱水鉱床があることが分かった。白嶺は今回の約1カ月の航海で、眠れる資源の量を調べる。
昨年2月就航。全長118メートルの船上後部には高さ32メートルの掘削装置がそびえ立つ。掘削装置は船底がぱかりと開き、水深2千メートルに到達後、海底下400メートルまで掘り進むことができる。1980年就航の前代は海底下20メートルがせいぜいだった。
船首と船尾の5基のプロペラ装置をコンピューターで制御し、一地点にとどまっていられるようになった。
運航しているのは、国の海洋資源調査を担う独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」。白嶺は海洋資源開発を実際に行うための技術試験も担う。岡本信行深海底調査課長は「課題は多いが、5年後には海底資源を掘り、海上に引き上げる技術を確立させたい」と話す。
今年3月には、愛知県の渥美半島沖で、天然ガス成分を含み「燃える氷」と呼ばれる海底のメタンハイドレートから天然ガスを取り出すのに世界で初めて成功。地球の深部まで掘削できる探査船「ちきゅう」が深さ1千メートルの海底の約330メートル下から取り出した。
また、小笠原諸島の南鳥島周辺の海底に高濃度の希少金属が大量に存在していることも今年3月に確認された。
■取り戻せるか「失われた10年」
海底資源の開拓に力を発揮している白嶺は、日本の海洋政策の立て直しに向けた「第一の矢」でもある。
太平洋では1970年代にも資源争奪戦が起きた。ハワイの南東沖に眠るマンガン団塊を取り出そうと、日本をはじめ米国、中国、韓国、フランス、ロシアなど各国の企業が探査を実施した。
その後、金属価格が低迷したため機運は一気にしぼんだものの、周辺国は「海をどう生かすか」を考え、海洋開発に関する法整備を急いだ。
中国は96年に海洋部門の国家ビジョンを策定。03年には、海洋資源の調査や開発に力を入れて、海洋産業を10年までに国内総生産の5%の規模に育てる大計画をまとめた。韓国も96年に一元的に海洋政策を担う海洋水産部を設けるなど、着々と準備を進めてきた。
94年に、初めて沿岸国に周辺海域の資源開発の権利を認める国連海洋法条約が発効したのが大きかった。
日本は出遅れた。8省庁に分かれていた海洋政策を一元的に担う担当大臣のポストを設け、海洋開発に積極的に取り組むための基本法が施行されたのは07年になってからだ。
翌年、政府の5年間の政策の指針となる海洋基本計画が作られ、老朽化した調査船の更新の検討を明記。民主党政権になって事業仕分けの対象になったが、あまりの古さに現地調査した仕分け人も驚くほどで、約290億円かけて白嶺の導入が決まった。
10年以上前から政府や与党に海洋政策の整備を提言してきた研究者のひとり、海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事は「日本は海に関心が低かった。様々な原因が重なった」と振り返る。
銅をはじめ鉱物資源が安くなり、自力開発より海外から買う動きが広まった。バブル崩壊で企業は「海洋」どころではなくなった――。04年に中国による東シナ海でのガス田開発が発覚。ようやく「海洋権益」に本気になった。
寺島氏は「90年代半ばからの10年で世界に大きく出遅れた」と「失われた10年」を嘆く。
沿岸国は周囲約370キロを排他的経済水域(EEZ)に設定して、その中の鉱物資源などを開発する権利を持っている。日本の領海とEEZは世界6位の広さ(447万平方キロ)で、海底に手つかずの資源が眠っているとみられている。
沖縄トラフはそうした「宝庫」のひとつ。今年1~2月、白嶺で水深1600メートルを調べ、ドリルで海底を約40メートル掘った結果、亜鉛や鉛、銅、金などの鉱物資源を含んだ大規模な海底熱水鉱床があることが分かった。白嶺は今回の約1カ月の航海で、眠れる資源の量を調べる。
昨年2月就航。全長118メートルの船上後部には高さ32メートルの掘削装置がそびえ立つ。掘削装置は船底がぱかりと開き、水深2千メートルに到達後、海底下400メートルまで掘り進むことができる。1980年就航の前代は海底下20メートルがせいぜいだった。
船首と船尾の5基のプロペラ装置をコンピューターで制御し、一地点にとどまっていられるようになった。
運航しているのは、国の海洋資源調査を担う独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」。白嶺は海洋資源開発を実際に行うための技術試験も担う。岡本信行深海底調査課長は「課題は多いが、5年後には海底資源を掘り、海上に引き上げる技術を確立させたい」と話す。
今年3月には、愛知県の渥美半島沖で、天然ガス成分を含み「燃える氷」と呼ばれる海底のメタンハイドレートから天然ガスを取り出すのに世界で初めて成功。地球の深部まで掘削できる探査船「ちきゅう」が深さ1千メートルの海底の約330メートル下から取り出した。
また、小笠原諸島の南鳥島周辺の海底に高濃度の希少金属が大量に存在していることも今年3月に確認された。
■取り戻せるか「失われた10年」
海底資源の開拓に力を発揮している白嶺は、日本の海洋政策の立て直しに向けた「第一の矢」でもある。
太平洋では1970年代にも資源争奪戦が起きた。ハワイの南東沖に眠るマンガン団塊を取り出そうと、日本をはじめ米国、中国、韓国、フランス、ロシアなど各国の企業が探査を実施した。
その後、金属価格が低迷したため機運は一気にしぼんだものの、周辺国は「海をどう生かすか」を考え、海洋開発に関する法整備を急いだ。
中国は96年に海洋部門の国家ビジョンを策定。03年には、海洋資源の調査や開発に力を入れて、海洋産業を10年までに国内総生産の5%の規模に育てる大計画をまとめた。韓国も96年に一元的に海洋政策を担う海洋水産部を設けるなど、着々と準備を進めてきた。
94年に、初めて沿岸国に周辺海域の資源開発の権利を認める国連海洋法条約が発効したのが大きかった。
日本は出遅れた。8省庁に分かれていた海洋政策を一元的に担う担当大臣のポストを設け、海洋開発に積極的に取り組むための基本法が施行されたのは07年になってからだ。
翌年、政府の5年間の政策の指針となる海洋基本計画が作られ、老朽化した調査船の更新の検討を明記。民主党政権になって事業仕分けの対象になったが、あまりの古さに現地調査した仕分け人も驚くほどで、約290億円かけて白嶺の導入が決まった。
10年以上前から政府や与党に海洋政策の整備を提言してきた研究者のひとり、海洋政策研究財団の寺島紘士常務理事は「日本は海に関心が低かった。様々な原因が重なった」と振り返る。
銅をはじめ鉱物資源が安くなり、自力開発より海外から買う動きが広まった。バブル崩壊で企業は「海洋」どころではなくなった――。04年に中国による東シナ海でのガス田開発が発覚。ようやく「海洋権益」に本気になった。
寺島氏は「90年代半ばからの10年で世界に大きく出遅れた」と「失われた10年」を嘆く。
年800万円、市議やりくり 名古屋、続く報酬半減
バスを乗っ取り3人殺害 ノルウェー
【ロンドン=伊東和貴】ノルウェーからの報道によると、首都オスロから北西に約220キロ離れた道路で4日夕、ナイフを持った男が長距離バスを乗っ取り、運転手と乗客2人を殺害した。男は南スーダン出身の30代前半で、駆けつけた消防士に取り押さえられた。動機はわかっていない。
報道によると、ノルウェー人の50代男性の運転手と19歳女性、スウェーデン人の50代男性が殺害された。容疑者の男は切り傷を負い、病院に運ばれた。バスはノルウェー南西部の山間部からオスロに向かっていた。2003年にも同じルートを通るバスで乗客らが殺害される事件が起きたという。
クール便、現場は悲鳴 「時間指定」も負担大に
【伊藤和行、中村信義】仕分けや配達時のずさんな温度管理が発覚したヤマト運輸の「クール宅急便」。ヤマト関係者は本社が定める作業手順が「現場の実態に合っていない」と問題の背景を語る。「時間指定」などの顧客サービスも重い負担になっているという。
中元時期の7月の昼ごろ、東京都内 の営業所に勤める男性が、配送車の荷台から取り出したクールの荷物はぬれてぐにゃりと曲がった。「溶けてるな」と感じたが、水滴を拭いてごまかし、届け先 に運んだ。繁忙期は荷物が増え、冷蔵・冷凍庫からあふれ出す。「夏でも庫外に置くのは当たり前。溶けるのも仕方ないという感覚だった」
本社のルール通り、保冷剤を配送車に持ち込み、庫外にあふれ出たクールの荷物のそばに置いたが、冷やすには不十分だった。男性は「本社の考えは矛盾している」と話す。
中元時期の7月の昼ごろ、東京都内 の営業所に勤める男性が、配送車の荷台から取り出したクールの荷物はぬれてぐにゃりと曲がった。「溶けてるな」と感じたが、水滴を拭いてごまかし、届け先 に運んだ。繁忙期は荷物が増え、冷蔵・冷凍庫からあふれ出す。「夏でも庫外に置くのは当たり前。溶けるのも仕方ないという感覚だった」
本社のルール通り、保冷剤を配送車に持ち込み、庫外にあふれ出たクールの荷物のそばに置いたが、冷やすには不十分だった。男性は「本社の考えは矛盾している」と話す。
朴大統領「日韓首脳会談、しない方がまし」 BBC報道
【ソウル=中野晃】英国を国賓訪問している韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が、英BBCとのインタビューで、日本との首脳会談について「元慰安婦などの問題が解決しない状態では、首脳会談はしない方がましだ」と語った。
朴大統領は「日本がまったく態度を変えず、一部の政治指導者が、我々は間違っていないとして謝罪する考えもなく、苦痛を受けた方々を侮辱し続けて
いるような状況では、(首脳会談をしても)何にもならないというのが現実だ」と述べた。英BBC(電子版)が4日、インタビュー内容を伝えた。
日本政府は1965年の請求権協定で「解決済み」との立場だが、韓国政府は「慰安婦問題は協定の対象に含まれない」と主張。元慰安婦の一部や支援団体は「公式謝罪と賠償」を求め、朴大統領は「元慰安婦の傷をいやす誠意ある措置を」などの表現で日本に新たな対応を求めている。
日韓首脳会談は2011年12月、当時の李明博(イミョンバク)大統領と野田佳彦首相が京都で会談したが、慰安婦問題をめぐって事実上決裂して以来、途絶えている。安倍晋三首相は「対話のドアは常にオープン」と述べているが、韓国側は「対話のための対話は難しい」(大統領府)として日本が解決案を示すのが先だと主張している。
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